医療脱毛には、アレキサンドライト、ダイオード、ヤグの3種類のレーザーが使われます。
それぞれの特徴や脱毛効果、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
簡単に表にまとめてみました。
アレキサンドライトレーザー | ダイオードレーザー | ヤグレーザー | |
---|---|---|---|
波長 | 755nm | 800-810nm | 1,064nm |
照射方式 | 熱破壊式(ショット式) | 蓄熱式 | 熱破壊式 |
メリット | 浅い毛根に効果 美肌効果あり |
中間 | 肌の奥深くに届く、色黒肌対応 |
デメリット | 深い毛には効果が出にくい | 中間 | 照射時に痛み、取り扱いクリニック少ない |
向いている人 | 浅い毛根、明るい肌色 | 中間 | 毛根が深い、色黒肌、色素沈着 |
主な脱毛機器 | ジェントルマックスプロプラス | ソプラノチタニウム メディオスターモノリス |
ジェントルヤグプロ、ジェントルマックスプロプラス |
今回はダイオードに焦点を当てて解説していきます。
ダイオードレーザーとは端的にまとめると、”主に蓄熱式脱毛で用いられ、脱毛効果はやや劣るものの比較的痛みの少ない脱毛レーザー”と言えるでしょう。
詳しく解説していきます。
目次
熱破壊式と蓄熱式
医療脱毛はその脱毛の仕組みから熱破壊式と蓄熱式の2種類に分かれます。
主に熱破壊式ではアレキサンドライトとヤグ、蓄熱式ではダイオードが用いられます。
熱破壊式であっても蓄熱式であっても脱毛にはバルジと毛母の両方の破壊が必要です。
熱破壊式脱毛の仕組み
①医療脱毛では電気のエネルギーによってレーザーが発射されます。
②発射されたレーザーが毛のメラニン色素(黒や茶色の色素)に反応します。
③反応したメラニン色素が熱エネルギーを発生させ、熱が毛の周囲に伝わります。
④毛の周囲に存在するバルジや毛母細胞を一度に大きな熱を加えて破壊します。
⑤充分に破壊できた場合、脱毛が完了します。
蓄熱式脱毛の仕組み
①医療脱毛では電気のエネルギーによってレーザーが発射されます。
②発射されたレーザーが毛のメラニン色素(黒や茶色の色素)に反応します。
③反応したメラニン色素が熱エネルギーを発生させ、熱が毛の周囲に伝わります。
④毛の周囲に存在するバルジや毛母細胞を複数回の熱を加えて破壊します。
⑤充分に破壊できた場合、脱毛が完了します。
”蓄熱式脱毛ではレーザーはメラニン色素に反応しない”といった記事を見かけることがありますが、これは医学的に間違いです。
以下の記事をご覧くださいね。
ダイオードレーザーの特徴
レーザーが届く深さはアレキサンドライトとヤグの中間
光は波として空間を伝わっていきますが、波の山から山までの長さを波長といいます。
それぞれアレキサンドライトは755nm、ダイオードは800nm程度、ヤグは1064nmです。
波長が長いほどレーザーは皮膚の深くまで届きます。
色素への反応性もアレキサンドライトとヤグの中間
脱毛の仕組みでお話しした通り、レーザーはメラニン色素に反応し熱を発生させます。
波長が短いほどメラニン色素への反応性が高いので、同じパワーのレーザーを照射した場合は波長が短いレーザーほど多くの熱を作り出します。
痛みは比較的少ない
ダイオードレーザーというより蓄熱式脱毛の特徴になりますが、熱破壊式と比較して小さなエネルギーを使っていくので痛みは比較的少なく感じることが多いです。
安定した効果を発揮しづらい
ダイオードレーザーを用いた蓄熱式脱毛の脱毛効果が安定しないのはその照射方法にあります。
先ほど説明した通り、蓄熱式脱毛では小さなエネルギーを複数回与えていきます。
つまり皮膚を何回も往復してレーザーを照射していくことになるので、施術者の技術力によって脱毛効果にかなり差が出てしまう傾向があります。
ダイオードレーザーによくある間違い
ダイオードレーザーに関するよくある間違いをまとめてみました。
①日焼け肌や色素沈着、色黒な肌に安全に照射できる
②金髪や白髪も脱毛できる
③ホクロも安全に照射できる
④男性のヒゲやVIOなど濃い毛の脱毛に向いている
⑤アレキサンドライトより産毛によく効く
間違い①日焼け肌や色素沈着、色黒な肌にも安全に照射できる
繰り返しになりますが、医療脱毛は熱破壊式であっても蓄熱式でも肌のメラニン色素にレーザーが反応し熱エネルギーを発生させ毛の組織を破壊する仕組みは共通です。
よって日焼けなどで肌のトーンが暗くなった場合、レーザーが皮膚に含まれるメラニン色素に強く反応してしまうため、ヤケドやその後の色素沈着のリスクが上昇してしまい危険です。
炎症が落ち着いた後の色素沈着や元々の体質で肌の色が暗い方は、波長が長くメラニン色素への反応性が低いヤグレーザーが向いている場合があります。
アレキサンドライトとダイオードは大きく波長が変わらないため、ダイオードだから安全に照射できるとは言えません。
また、日焼け直後の肌に関しては、そもそも炎症が起こっている状態の肌に高刺激の脱毛レーザーを照射してしまうことになるためヤケドなどのリスクが高く大変危険です。
間違い②金髪や白髪も脱毛できる
金髪や白髪にはメラニン色素が少ないためそもそもレーザーが反応しません。
色素が少ない毛には針脱毛の施術をお勧めします。
間違い③ホクロも安全に照射できる
アレキサンドライトはホクロに照射できないがダイオードなら照射できる、というのも大きな間違いです。
どちらのレーザーも黒や茶色の色素に反応しますのでホクロの色みやサイズによってはヤケドのリスクが高く危険な場合があります。
色みやサイズによっては照射できる場合もありますので、どのホクロなら照射できるかは通っているクリニックに相談しましょう。
こちらのブログにて写真付きで解説しています!
間違い④男性のヒゲやVIOなど濃い毛の脱毛に向いている
ダイオードでの蓄熱式脱毛は痛みが少なく濃い毛の脱毛に向いているという内容を目にすることがありますが、脱毛効果で判断する場合、圧倒的にアレキサンドライトで熱破壊式脱毛を行なった方が効率が良いです。
アレキサンドライトはメラニン色素への反応性が高いため色みの濃い毛によく反応します。
また、男性のヒゲなどの長い毛に関してはより深くまで届くヤグレーザーが向いていることがあります。
間違い⑤アレキサンドライトより産毛によく効く
産毛脱毛が手強いのは含まれているメラニン色素の量が少ないからです。
当院ではアレキサンドライトレーザーで産毛にもしっかりと脱毛効果を実感していただいています。
産毛脱毛についての詳しい解説はこちらをご覧ください。
ダイオードレーザーで脱毛する場合、回数は何回必要?
ダイオードレーザーを用いた蓄熱式脱毛の実際
ダイオードレーザーは主に蓄熱式脱毛で使われているのでその場合の脱毛回数を考えてみましょう。
毛量や毛質の違いによる個人差はありますが、一般的には医療脱毛が完了するまでの平均施術回数は7-12回程度です。
多くの場合、医療脱毛を始めてから自己処理が楽になるまで5回以上、自己処理が不要な状態になるまでには8-12回以上が目安とされています。
しかしこちらは熱破壊式脱毛で効果的に脱毛を進められた場合の回数であり、経験的に蓄熱式脱毛ではこれ以上の回数を要する場合がかなり多いと感じます。
先ほどお伝えした通り、蓄熱式脱毛は施術者の手加減や力量、経験値に依存している側面があり、脱毛効果にもかなりのばらつきがあります。
やり方によっては痛みを少なく、最大限の効果を発揮できる可能性がありますが、逆に効果が低い、効果を実感しにくいなど感じてしまうことも多いです。
医療脱毛完了までの回数は体の部位などでも変わる
医療脱毛を完了させるのに必要な回数は部位や毛の太さによって変わってきます。以下は、体の部位別に脱毛完了までの平均回数を表にまとめたものです。
部位 | 効果を実感する回数 | お手入れが楽になる回数 | 脱毛完了までの回数 |
顔 | 3〜5回 | 6〜7回 | 8〜12回 |
腕 | 1〜3回 | 4〜6回 | 7〜10回 |
脚 | 1〜3回 | 4〜6回 | 7〜10回 |
脇 | 1〜3回 | 5〜6回 | 7〜10回 |
VIO | 1〜3回 | 5〜7回 | 8〜12回 |
また脱毛完了までにかかる回数は、部位以外にも毛周期やメラニン色素の量、出力、使用している機械やクリニックの力量などによって大きく変わってきます。
ダイオードレーザーを搭載した脱毛器
ダイオードレーザーを搭載した脱毛器のうち2つをご説明しようと思います。
下の表をご覧ください。
製品名 | メディオスターモノリス | ソプラノチタニウム |
---|---|---|
発売年 | 2021 | 2019 |
日本薬事承認 | あり | なし |
FDA承認 | あり | あり |
蓄熱式/熱破壊式 | 蓄熱式/熱破壊式切り替え | 蓄熱式/熱破壊式切り替え |
波長 | ダイオードレーザー
808nm, 940nm |
ダイオードレーザー
810nm, 755nm, 1400nm |
パルス幅 | 3-400ms | 20ms |
特徴 | 2波長同時照射の蓄熱式 | 3波長同時照射の蓄熱式 |
メディオスターモノリス
メディオスターモノリスはドイツのascleption社が製造した脱毛器でメディオスターネクストプロの進化版になります。
周波数の最大値やパルス幅の短さ、スポットサイズの広さなどが変更されました。
ソプラノチタニウム
ソプラノチタニウムはイスラエルのアルマレーザー社が製造した脱毛器でソプラノアイスプラチナムの進化版になります。
ハンドピースが大きくなったことで従来より照射時間が短縮されました。
ダイオードレーザーを用いた脱毛で気をつけるポイント
ダイオードレーザーを用いた脱毛で気をつけるポイントをまとめました。
・蓄熱式脱毛は脱毛効果が低くなる可能性がある。
・ジェルを使うため不快感がある。
・複数の波長を同時に照射すると脱毛効果が上昇するわけではない。
・照射時間が短いと効果が低い可能性がある。
蓄熱式脱毛は脱毛効果が低くなる可能性がある
蓄熱式脱毛は総熱量と処置の再現性が高ければ効果の高い脱毛法なのですが、処置の手技が煩雑なため、施術者の技量によって効果が大きく変わってしまいます。
クチコミなどで高評価と低評価が入り混じるのはそういった要因によるものと考えられます。
ジェルを使うため不快感がある
蓄熱式脱毛では施術の際に身体にジェルを塗ります。
蓄熱式脱毛では脱毛器のハンドピースを皮膚の表面に沿って滑らせるように動かしていくため必要なのですが、このジェルを不快に感じられる方が一定数いらっしゃいます。
触感が不快だったり、ジェルによって寒さが増す、といったデメリットがあります。
複数の波長を同時に照射すると脱毛効果が上昇するわけではない
蓄熱式脱毛器には複数の波長を同時に照射するものが多くあります。
脱毛効果が高まる印象を受けますが、複数の波長を同時に照射することで脱毛効果が高まるというエビデンスはありません。
照射時間が短いと効果が低い可能性がある
蓄熱式脱毛の広告で照射時間が短いと見かけることがあります。
先述の通り、蓄熱式脱毛は総熱量と処置の再現性が高ければ効果の高い脱毛法です。
しかし施術時間が短い=肌を往復する回数が少ないという場合もあり、その場合は総熱量が不足してしまうため十分な脱毛効果が得られない可能性があります。
また、ジェルを塗布する時間もかかるため、蓄熱式脱毛より熱破壊式脱毛の方が時間が短いことは非常に多いです。
まとめ
ダイオードレーザーは主に蓄熱式脱毛に用いられます。
蓄熱式脱毛は手技が難しく、施術者の技量によって効果が大きく左右されます。
確実な効果を実感するにはレナトゥスクリニックでジェントルマックスプロプラスを使って脱毛を行うことをおすすめします。
参考文献
監修医師一覧(専門医情報)
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レナトゥスクリニック 新宿院院長私は患者として、医療脱毛、ボトックスやヒアルロン酸はもちろん、様々な施術を受けてまいりました。
自分自身で口コミや評判、症例などを調べて美容クリニックへ行き、成功したこともあれば失敗したこともあります。
このような経験をしてきたからこそ、本当に良い美容医療を責任感を持って提供したいという強い意志があります。
美容業界に携わる今、皆さまの美しくなりたい気持ちに真摯に応え、誠実な美容医療を提供していきたいと強く考えております。
小さなお悩みも、長年のコンプレックスも、お力になれればと存じます。
新宿の美容医療なら渡邊にお任せください。
東京女子医科大学出身、美容施術経験多数(なんでも聞いてください!)、instagram、Tiktok、X(旧Twitter)