シミや肝斑があっても顔脱毛はできる？

シミといっても千差万別

シミは医学的には”後天的な皮膚へのメラニン色素（黒や茶色の色素）の沈着”を指します。

その中には老人性色素斑（日光黒子）、肝斑、そばかす（雀卵斑）、ADM:後天性真皮メラノサイトーシス（両側性遅発性太田母斑）、炎症後色素沈着症などが含まれます。

この中で最も頻度が高いものが老人性色素斑、最も治療が難しいものが肝斑になります。

2つに加えて、医療脱毛を受けられる年代に比較的多いそばかすと炎症後色素沈着について簡単に解説していきます。

老人性色素斑

統括院長医師　副田周

シミというと老人性色素斑をイメージされる方も多いのではないでしょうか

年齢を重ねてくると出てくる、皆様が思うシミはこの「老人性色素斑」であることが多いです。

日光が当たる場所に出現するため顔や手、腕に多く、色調は褐色から黒色、サイズは直径数mmから1cmを超えるものまであります。

肝斑

肝斑は主として両頬に対称性に生じる後天性の色素異常症を指します。

肝斑の診断は難しく、特にADM:後天性真皮メラノサイトーシスとの鑑別に難渋します。

また、他のシミとの合併も多いことも診断を一層難しくさせています。

紫外線への曝露や女性ホルモンの乱れ、肌への繰り返す摩擦などを原因として発症すると言われています。

美容ナース

女性ホルモンとの関連もあり30代から40代の女性に多いです

多くは頬骨周辺に現れますが、額や口の周りに出現することもあります。

そばかす

そばかすは医学的には雀卵斑といい、鼻を中心に左右対称に細かく散在する直径3～5ミリの茶色の色素斑を指します。

色白な方に多く、遺伝的なことも関係すると言われています。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着とは皮膚の炎症過程に続いて生じるメラニン色素の貯留を指しています。

多くの色素沈着とは、皮膚のいちばん表面に存在する表皮のみがダメージを受けたもので、ターンオーバーとともに自然に改善していきます。

一方で表皮の下に存在する真皮にまでダメージが及び、真皮内にメラニンが滴落してしまった場合は瘢痕とともに色素沈着が長く残ってしまうことがあります。

色素沈着についてはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてくださいね。

2023.09.14

医療脱毛後の炎症後色素沈着とは？あるとできない？

炎症後色素沈着（PIH）とは？ 炎症=火事、色素沈着=PIH=焼け跡、とまずは覚えて読み進めてください。 日本皮膚科学会によると、炎症後色素沈着とは”急性あるいは慢性の皮膚における炎症過程に続いて生じるメラニンの貯留”を指...

シミに脱毛レーザーは当てられる？

照射できるものもあるがリスクも伴う

医療レーザー脱毛では、レーザーがお肌のメラニン色素に反応して高温を発生させ、その周囲の細胞を破壊する、というシステムで永久減毛を行なっています。

このため、レーザーは毛の黒色だけではなく、黒い肌、シミ、ホクロ、あざといった組織にも反応をすることになります。

よってシミに脱毛レーザーを照射するとメラニン色素に強く反応してしまいヤケドやその後の炎症による色素沈着、色素脱失、色みの変化（薄くなる、濃くなる、まだらになる）などを起こしてしまう可能性があります。

また、炎症後の色素沈着に脱毛レーザーによる刺激が加えられると色素沈着の治りを遅くする可能性があります。

統括院長医師　副田周

ただし、色みが薄いものには出力などの調整によって照射できることも多いですのでご相談いただければと思います。

例外：肝斑や色みの濃すぎるシミには照射できない

ご説明した通り、肝斑は刺激によっても増悪する可能性があります。

肝斑に脱毛レーザーを照射してしまうと肝斑を悪化させてしまい濃くなってしまう可能性があり、照射はお勧めできません。

また、肝斑の治療に用いるハイドロキノンは刺激性があり赤みなどが出る方がいらっしゃるので、脱毛前後は一定期間休薬していただく必要がございます。詳しくはご相談いただければと存じます。

加えて、色みの濃すぎるシミへのレーザー照射はヤケドのリスクが非常に高く危険です。

こういったシミへのレーザー照射はお断りさせていただく可能性がございます。

まとめ

シミにもさまざまな種類があります。

色みの薄いシミには脱毛レーザーを照射できることも多いです。

しかし色みが濃くなればなるほどヤケドや色素沈着などのリスクが高まり、お断りさせていただくこともございます。

肝斑には基本的にレーザー照射は避けましょう。