マイクロカニューレとは?

マイクロカニューレとは何か

マイクロカニューレ

マイクロカニューレとは、ヒアルロン酸を注入する際に使用する先端が丸い針の一種です。
カニューレは、古くから医療現場使われている筒状の器具で、体内に液体や薬剤を投与する際に使われてきました。

針先が斜めにカットされて鋭く刺さる形状になっている注射針とは異なり、カニューレは先端が丸く鈍くなっています
刃物のような鋭さはないので、皮膚に突き立てても刺さりません。

美容分野においては、米国では長年に渡り脂肪移植術の際にカニューレが用いられてきました。
そして2010年頃に、皮下組織充填剤の投与に使用できる小型の細いカニューレが発売されました。

これがマイクロカニューレです。

マイクロカニューレはヒアルロン酸などのフィラー治療において安全性が高く便利であることから、世界中に広まりました。
発売から数年で欧州や日本などに普及し、近年では一般的に使用されるようになりました。

針との違い

針

ヒアルロン酸注入に使用する針には、ニードルとマイクロカニューレの2種類があります。

ニードルは、みなさんが想像する鋭利な針です。病院で採血や注射をする際に使われる針は、皮膚に刺さった瞬間にとても痛いですよね。
組織に刺さりやすいように先端が斜めに鋭くカットされた形状になっているので、皮膚だけでなく血管や神経などの組織にも当たってしまい損傷するリスクが高いです。針先が血管に当たると血管が容易に切れて出血し、その後内出血になります。ヒアルロン酸治療では、血管内に針先が入った状態で注入すると血管塞栓という最も重篤な合併症が起きます。
ニードルのサイズは18G〜34Gまであります。Gはゲージと読みます。点滴注射は20G〜23G、薬剤注射には23G〜25Gが主に使用されます。
一方で、ヒアルロン酸治療では27~34Gの細めの針を用います。30Gは0.20mm、34Gは0.10mmの極細の針です。

カニューレの太さ カニューレの長さ カニューレの外径 パンチングニードルの太さ
30G 25mm 0.298mm 27G
27G 40/50mm 0.400mm 25G
25G 50/70mm 0.500mm 23G
23G 50mm 0.650mm 23G
21G 70mm 0.800mm 21G

美容医療では、より細やかな調整ができること、注入時の痕が残りにくいこと、穿刺時や注入中の痛みをなるべく少なくすることを重視しているので細い針を用います。しかし、どんなに細くても針は針なので、刺入時の痛みは消えることはなく、何度も刺す行為は大変苦痛です。
ヒアルロン酸を狭い範囲に局所的に注入する、顎ヒアルロン酸などに向いています。

マイクロカニューレは、先端が丸くなっており、皮膚に押し当てても刺さりません。極細の金属製ストローをイメージしてもらえばいいかと思います。
これにより血管や神経などの大事な組織を傷つけるリスクが大幅に下がります。
カニューレもサイズは18G〜34Gまでありますが、ヒアルロン酸注入では25G〜30Gを使うことが多いです。
また、薬剤が押し出される針穴は先端ではなく横向きについており、注入の際に穴の向きをコントロールする事で注入方向を変えられます。
マイクロカニューレはニードルよりも長さが長く、しなやかにしなる形状なので、フレキシブルに動かすことができます。ヒアルロン酸を広範囲に面状に注入する、なめらかな額や輪郭を作成するヒアルロン酸治療に向いています。

糸リフト・ヒアルロン酸・ボトックスで使う針の比較動画

糸リフト・ヒアルロン酸・ボトックスで使う針を実際にどのような感じなのか、動画で解説しています。
マイクロカニューレがどのような太さで長さがどれくらいなのか?を動画で見てみるとイメージがしやすくなります。

マイクロカニューレのメリット

メリット

痛みが減る

マイクロカニューレ単体では皮膚に刺さらないため、最初にニードルで1箇所だけ皮膚に針穴を開け、その穴からカニューレを挿入し注入していきます。左右にカニューレを移動する時も同じ穴から移動可能なので、縦横無尽に注入できます。この方法であれば、強い痛みがあるのは最初の針穴を開ける一瞬のみになります。皮膚に針を刺す回数が減ります。
特に、注入したい箇所が広範囲の場合、ニードルでは多数の箇所から何度も針を刺して注入しなければならないので痛みが強いです。痛みがあると動いてしまう患者さんもいらっしゃるので大変危険です。マイクロカニューレを使えば、広範囲のヒアルロン酸治療の苦痛は大幅に下げることができます。

内出血が減る

内出血とは、血管から出血することにより施術後に起こる症状です。
マイクロカニューレは、大事な組織に刺さらないように先端が丸くなっています。カニューレの先端が血管にツンと当たったとしても、血管が傷つきにくい形状になっているため出血を防ぐことができます。
日本国内でマイクロカニューレを用いてフィラー治療を行った230人400か所において、内出血が起きたのは3例(0.0075%)のみであったという報告もあります。
内出血が少ないとダウンタイムは大幅に短くできますので、人にバレないように治療を受けたい方にはマイクロカニューレをおすすめします。

副作用(血管塞栓・失明等のリスク)が減る

血管塞栓とは、ヒアルロン酸が血管内に注入されることで起きる最も重篤な合併症で、皮膚血行障害による皮膚壊死や失明を来します。
通常では、血管内に針先が入ってしまっている場合、施術者がフローバックの確認をすることで血流の逆行を確認できます。しかしヒアルロン酸注入は特殊な状況になります。ヒアルロン酸自体の粘度が高いために、フローバックの確認作業をしても血液がうまく逆流してこない状態になることがあるのです。この状態で注入をすると、血管塞栓が起きてしまうということです。
となれば、血管塞栓を起こさないためには、まずは針先を血管内に刺入しないようにすることが最重要と思われます。
これまでも述べてきた通り、マイクロカニューレは先端が丸く簡単には血管に刺さらない形状になっているので、血管内に針先が刺入するリスクはニードルと比べると大幅に下がると考えられます。
当院では、患者さんの安全性を第一に考え、ほとんどのヒアルロン酸治療においてマイクロカニューレを使用しています。

仕上がりが綺麗になりやすい

マイクロカニューレメソッドを使用することで、ヒアルロン酸を一定の層に注入することができます。
針を使うと、さまざまな層にヒアルロン酸が入ってしまうことが多く、これがボコボコする仕上がりの原因になります。

一定の層に注入することで、例えば鼻はスーッと通ったような仕上がりにすることができます。
針での処置ですと、丸の連続で作ることになり、ボコボコとした仕上がりになってしまいます。

マイクロカニューレを使用することで、よりナチュラルで美しい仕上がりが期待できるでしょう。

マイクロカニューレのデメリット

デメリット

マイクロカニューレは安全面に優れ、どんな部位にも汎用性が高い針ですが、できない注入方法もいくつかあります。

浅い層に注入できない

まず、皮内注射はできません
皮内注射とは真皮内(皮膚の浅い部分)に注入することを指します。美容医療では、ボトックス注射やコラーゲン注射、肌質改善を目的としたヒアルロン酸注射などで行う方法です。
皮内注射をするには皮膚表面から針を刺して針先を皮膚浅層にとどめた状態で薬剤を注入する必要があるので、皮膚に刺さらないマイクロカニューレではできません。

深い層に注入しにくい

次に、マイクロカニューレは垂直に刺入することはできません。
顎やこめかみ、ゴルゴラインなどの部位で骨膜上にヒアルロン酸を注入する際には、皮膚表面から刺入し最深部の骨に到達するまで真っ直ぐ垂直に針を進める必要があります。骨に到達するまでには、分厚い皮下脂肪、筋膜、筋肉など多くの組織を貫かなければならないです。

しかし、マイクロカニューレのような細くしなやかな針では、途中で曲がってしまい、目標位置までうまく辿り着けません。無理に針を進めると、カニューレが破損してしまうこともあります。
垂直に刺入して注入したい部位では、ニードルの使用が向いています。

マイクロカニューレを使えば100%安全か

安心信頼

注意していただきたいのは、マイクロカニューレを使用しても、血行障害の可能性がゼロになるわけではないということです。

カニューレを使用していても血管塞栓を起こした症例は報告されています。カニューレの先端が丸くなっているとはいえ、強い力で無理に押し込むと血管壁を貫いてしまいます。フォークを皮膚に軽く当てても刺さらないですが、勢いよく強い力で押し当てると刺さるのと同じですね。
特に27G〜30Gの細いカニューレは、血管壁を貫通するリスクがあると言われています。
また、カニューレを血管に平行に挿入すれば貫通のリスクは少ないという意見もありますが、血管は蛇行や分岐も多く個人差があります。特に、外傷や手術の既往などにより皮下組織の癒着がある部分では、血管の可動性が低くなっており、血管損傷のリスクも上がると考えられます。
以上より、血管が損傷したところにヒアルロン酸が高圧で注入されればどの針でも血管塞栓は起こりうると思われます。カニューレを使用する場合でも、ニードルと同じようにリスクの少ない注入方法で慎重に注入する必要があると思います。

施術する医師の注入技術が重要であるのは、ニードルもカニューレも変わりません。
安全なヒアルロン酸注入を行うには、医師の経験数と技術力が必要です。道具だけ揃えても、安全ではありません。
当院では、豊富な症例数をもとに、常に医師間で勉強会を行い安全性の検討をしています。

マイクロカニューレのよくある質問

日本製と海外のマイクロカニューレと何が違いますか?

日本製のものであれば、信頼できるメーカーから、明確な製造過程で清潔な製品を使うことができます。
また、針の耐久性や長さも日本人向けの製品を購入することができます。

海外製のものは、料金が非常に安いかわりに、清潔、安全性、製造過程、耐久性全てに疑問が残ります。
もし自分が患者様の立場であれば、間違いなく使用しません。

ボトックスでは使用できますか?

ボトックスでは、マイクロカニューレは使用できません。
ボトックス注射では、1つの特定の筋肉を狙って、深さも特定の深さを狙って、0.1ml単位で注射するなど非常に細かい注入方法を行います。
マイクロカニューレでは、そのレベルの細かい操作は難しく、また皮内注射もできないので、ボトックスに使用するのは不向きです。

マイクロカニューレの値段と相場

マイクロカニューレの値段の相場は安いクリニックで¥3,300程度から、高いクリニックで¥11,000程度です。
この価格差は、日本製か海外製かで大きく変わってきます。
品質の良い日本製のものは価格が高くなっています。

当院では、日本製のマイクロカニューレ1本につき¥4,400です。
ダウンタイムが少ない安全性の高いヒアルロン酸注射をご希望の方は、必須と言っても過言ではありません。
ぜひ一度使ってみてください。

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