肝炎(A.B.C.D.E型.その他)の既往があっても脱毛はできる?

肝炎と医療脱毛

全身脱毛をしたい!と考えている方の中には、持病があったり、過去に病気に罹患していたりして「自分は脱毛できるのかな?」とご不安な方もいらっしゃると思います。
その中で今回は、肝炎の既往がある方の脱毛について考えてゆきたいと思います。

肝炎とは?

肝炎

肝炎とは、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が破壊されていく病気です。

その原因には、①ウイルス②アルコール③自己免疫④脂肪⑤薬剤性等があります。
日本では、この中でも、ウイルスの感染によって肝臓が炎症を起こす『ウイルス性肝炎』が大部分を占めています。
では、これらの肝炎の既往があっても、医療脱毛を受けることはできるのでしょうか?

肝炎の既往があっても医療脱毛を受けることはできるの?

肝炎

結論から申しますと、症状とデータによります
さらに言えば、「何性の肝炎か」でも異なります
一つ一つ見てゆきましょう。

①ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎とは、その名の通り肝炎ウイルスが原因で起こる肝炎全般を指します。
肝炎ウイルスには、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、E型肝炎ウイルスなどがあります。
A型肝炎ウイルスに感染して起こる肝炎を「A型肝炎」、B型肝炎ウイルスに感染して起こる肝炎を「B型肝炎」、C型肝炎ウイルスに感染して起こる肝炎を「C型肝炎」、E型肝炎ウイルスに感染して起こる肝炎を「E型肝炎」とそれぞれ呼びます。

①A型肝炎、E型肝炎

ウイルス性肝炎の中でも、A型肝炎とE型肝炎は、一般的に慢性肝炎に移行することはほぼないと考えられるため、症状が改善しており血液検査で肝機能障害も認められなければ、医療脱毛を受けることは可能だと考えられます。

②C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染している人の血液を介して感染します。
医療現場においては、例えばC型肝炎ウイルスに感染している人の採血を行なった針を、誤って医療者が自分の指などに刺してしまった場合、採血の針を通してその医療者がC型肝炎ウイルスに感染してしまう場合があります。
医療脱毛の場面においては、例えば剃毛時に医療者が誤って患者の皮膚を傷つけてしまい、血がついてしまった剃刀で誤って自分の皮膚を傷つけてしまった場合、その患者様がC型肝炎ウイルス感染者であれば、医療者も感染してしまう可能性があります。
また、C型肝炎は、30%が自然治癒しますが、70%は慢性肝炎へ移行します。C型慢性肝炎は10〜20%の症例が約20〜30年の経過で肝硬変へ移行すると言われており、更に、C型慢性肝炎が進んでいればいるほど、肝細胞癌を発症するリスクが高くなると言われています。
以上のことから、C型肝炎に罹患した場合、特にC型慢性肝炎に移行してしまった場合は、まずC型肝炎の治療を行い、治癒(※1)してから医療脱毛の施術を受けることが望ましいと考えられます。
また、治癒したのちに医療脱毛を検討する際は、念の為通院中の病院で主治医から医療脱毛を受ける許可を得ておくことが必要になると思われます。

(※1)PCR検査でC型肝炎ウイルスが検出されなくなった状態を指します。

③B型肝炎

B型肝炎も、C型肝炎同様、B型肝炎ウイルスに感染している人の血液を介して感染します。
そのため、C型肝炎同様、医療脱毛の場面においても医療者が感染してしまう可能性があります。
また、C型慢性肝炎とは違い、B型慢性肝炎の患者様に持続感染しているB型肝炎ウイルスは身体から完全排除することは出来ないことがわかっています。
そのため、残念ながら、B型慢性肝炎の患者様においては、肝機能障害がなかったとしても施術の受け入れが難しいと言われることも少なくないと思われます。
B型肝炎ウイルスに感染しても、慢性化せずに治癒した場合(※2)は、肝機能障害がなければ医療脱毛の施術を受けることは可能と考えられます。
医療脱毛を検討する際は、念の為通院中の病院で主治医から医療脱毛を受ける許可を得ておくことが必要になると思われます。

(※2)PCR検査でB型肝炎ウイルスが検出されなくなった状態を指します。

②アルコール性肝炎

慢性のアルコール性肝障害(アルコールの多飲が原因で肝障害が起きること)がある人が、大量に飲酒したことをきっかけに発症する急性の肝障害のことをアルコール性肝炎と言います。
通常は禁酒により改善するため、アルコール性肝炎の既往があったとしても、症状がなく肝機能障害が見られない場合は医療脱毛の施術を受けることが可能と考えられます。
その場合であっても、肝臓に関して通院中である場合は、医療脱毛を受けていいか、主治医に許可を得ておいた方が良いかと思われます。

③自己免疫性肝炎

自分の免疫制御機構が異常をきたし、自分の肝細胞を攻撃してしまうことで引き起こされる肝障害を自己免疫性肝炎と呼びます。
自己免疫性肝炎の場合、ステロイドが著効するため、通常は治療にステロイドを使用します。
ステロイドを継続して内服されている場合(積算で700mgを超える場合)、感染症にかかるリスクが高くなると言われており、医療脱毛においてはレーザー照射後の毛嚢炎になりやすかったり、毛嚢炎が難治性になりやすかったり、重症化しやすかったりする可能性が考えられます。
そのため、症状が安定し、検査データも安定していることは大前提となりますし、照射に際しても主治医の先生のご協力が必要となる可能性もあるため、ご契約にあたっては主治医の先生のご許可が必要です。

④脂肪肝炎

脂肪肝を引き起こす原疾患は多岐にわたります。特に、アルコール多飲による脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」、主としてメタボリック・シンドロームを原因とするものを「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」と呼びます(※3)。
ここでは、脂肪肝炎の中でも「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」を取り上げます。
NASHは、肝臓の繊維化や肝硬変が見られる病態ですので、一般的には肝機能障害をともなっていることが多く、と考えられます。
そのため、現在まさにNASHに罹患している、と言う場合は、医療脱毛の照射は難しいでしょう。
過去にNASHにかかっていたが、治療をし、現在は肝機能も改善している、と言う場合であれば医療脱毛の照射は可能であると考えられます。
その場合であっても、肝臓に関して通院中である場合は、医療脱毛を受けていいか、主治医に許可を得ておいた方が良いかと思われます。

(※3)非アルコール性脂肪肝を、広い意味でアルコール過剰摂取以外を原因とする脂肪肝全体とみなす考えもありますが、ここでは主としてメタボロック・シンドロームを原因とする脂肪肝を「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」とします。

⑤薬剤性肝炎

薬剤性肝炎とは、薬物自体もしくはその代謝産物による肝炎の総称です。薬剤のみならず、サプリメントや健康食品、ハーブなども原因となります。
一般的には原因となる薬物等を中止することで改善すると考えられますが、原因薬物を中止しても肝機能が改善せず、慢性化する場合もあります。
過去に薬剤性肝炎を発症し、治療の後に肝炎が治癒し、肝機能が正常に戻っている場合であれば、医療脱毛の照射は可能であると考えられます。
その場合であっても、肝臓に関して通院中である場合は、医療脱毛を受けていいか、主治医に許可を得ておいた方が良いかと思われます。
また、慢性化してしまった場合は、肝機能障害の程度によっては医療脱毛の照射が難しい場合もあります。
慢性化している場合で医療脱毛の照射を希望される場合は、少なくとも主治医の許可は必要になると考えられます。

まとめ

肝炎

・ウイルス性肝炎の場合、急性肝炎を発症し治癒したものはA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎全てにおいて医療脱毛の照射が可能と考えられる。
肝臓に関して通院中の病院がある場合は、主治医の許可が必要となる。
・C型慢性肝炎に関しては、治癒していれば医療脱毛の照射は可能だが、念の為主治医の許可は得ておいた方が良い。
・B型慢性肝炎に関しては、感染リスクの観点から医療脱毛の照射が難しいことが多い。
・自己免疫性肝炎は、ステロイド内服による感染症リスクがあるため、医療脱毛の照射に際しては主治医の許可が必要となる。
・アルコール性肝炎、脂肪肝炎は、治癒していれば医療脱毛の照射が可能と考えられるが、その場合でも肝臓に関して通院中の病院がある場合は、主治医の許可が必要となる。
・薬剤性肝炎は、治癒していれば医療脱毛の照射が可能と考えられるが、肝臓に関して通院中の病院がある場合は、主治医の許可が必要となる。
・薬剤性肝炎で慢性化してしまった場合は、肝機能障害の程度により医療脱毛の照射が難しい場合もある。その状態で照射を希望される場合は、少なくとも主治医の許可は必要となる。

 

いかがでしたでしょうか?
肝炎は意外に身近な病気です。特に薬剤性肝炎は、海外のダイエットサプリなどが原因で発症することもあり、医療脱毛をご検討されている方が多い若い世代の方にも起こりうる病気です。
そういった疾患にかかってしまった場合でも、脱毛を受けられる条件があるかもしれない、と言うことを知ってもらえるきっかけになれば幸いです。

レナトゥスクリニックでは、持病がある方やハイリスク患者の受け入れも条件を整えた上で数多く行っており、実績も豊富です。
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