1995年にレーザー脱毛器がはじめてFDA(アメリカでいう厚生労働省)に承認されて以降、皮膚がんとの関係性が長きにわたり研究されています。
紫外線や放射線が皮膚がんの発症リスクになるように、脱毛レーザーが皮膚がんの発症や悪化を誘発するのではないかと検討が続いています。
レーザー脱毛が皮膚がんを誘発する医学的根拠はない
現時点でレーザー脱毛が皮膚がんを誘発するという医学的根拠は認められていません。
脱毛に限らず医療に用いられているあらゆるレーザー機器やIPL機器は、直接的にも間接的にもDNAを損傷させない構造や仕組みになっています。
使用するレーザーの波長(レーザーの波の山から山までの長さ)が400nmより短い場合はDNA損傷のリスクがありますが、現在医療脱毛で用いられているレーザーの波長は短いもので755nm、長いもので1064nmです。
2023年のAhuva Cicesらの報告でも述べられているように1995年以降の約30年間、脱毛レーザーで照射されたほくろが悪性化や重度の非典型的変化を起こしたといった報告は全くありません。
一方で、レーザー脱毛の副作用のうち皮膚がんの発症と関連があると思われるものに火傷があります。
火傷と皮膚がんの発症には関連性は長く議論されており、2005年のAreta Kowal-Vernらの報告では、皮膚がんの中でも特に有棘細胞癌という種類の癌が火傷による傷跡の瘢痕部分に発症しやすいと述べられています。
しかし、2011年のSarah C Wallingfordらの報告では火傷患者が一般的に皮膚癌のリスクが高いわけではないことを示唆しており、火傷と皮膚がんの関連性は更なる検討が必要そうです。
レーザー脱毛によって火傷をしてしまった場合、ほとんどが比較的浅い層(医学的にはI度や浅達性II度)の火傷ですので、強い瘢痕を残す可能性は非常に低く、レーザー脱毛によって皮膚がんが誘発されるとは考えにくいです。
もともと皮膚がんがあった場合は?
ではもともと皮膚がんがあった場合、脱毛レーザーによって悪化してしまう可能性はあるのでしょうか。
答えは、皮膚がんの種類によっては症状を悪化させたり発見を遅らせる可能性があると指摘されています。
しかしこのリスクが指摘されている皮膚がんは悪性黒色腫(メラノーマ)のみで、ほとんどの皮膚がんや前癌病変(がんを発症する前の段階)との関連性はないとされています。
また、悪性黒色腫に関しても、その発症が脱毛レーザーによって誘発される医学的根拠は認められていません。
まとめ
紫外線や放射線とは違い、脱毛レーザーが皮膚がんを誘発するという医学的根拠は認められていません。
また脱毛の副作用のひとつに火傷がありますが、医療脱毛によって火傷が起こってしまった場合もその部位が皮膚がんになりやすいとは考えにくいです。
参考文献
Changes in melanocytic nevi treated with laser hair removal: A systematic review
Burn scar neoplasms: a literature review and statistical analysis
Skin cancer arising in scars: a systematic review
監修医師一覧(専門医情報)
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レナトゥスクリニック 新宿院院長私は患者として、医療脱毛、ボトックスやヒアルロン酸はもちろん、様々な施術を受けてまいりました。
自分自身で口コミや評判、症例などを調べて美容クリニックへ行き、成功したこともあれば失敗したこともあります。
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美容業界に携わる今、皆さまの美しくなりたい気持ちに真摯に応え、誠実な美容医療を提供していきたいと強く考えております。
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