皮膚の構造を解説

一言で皮膚と言いますが、実は私たちの皮膚は層構造になっています。
クリームの層やパイ生地の層を重ねて出来ているミルフィーユを想像して頂ければわかりやすいと思います一言でミルフィーユと言っても、パイ生地の層と生クリームの層の特徴は層毎に違いますよね。

ここでは、一つ一つの層について、ざっくりとどんな働きをしているのか、どんな構造になっているのか見てゆきたいと思います。

皮膚全体の構造とは?

上にも書いたように、皮膚は、大まかに分けて3層(上から順に、表皮層、真皮層、皮下組織)の層構造からなります。

皮膚構造
(図1:新しい皮膚科学第3版より)

表皮とは、読んで字のごとく一番表面にある皮膚です。私たちが自分の、あるいは誰かの肌に触れる時は「表皮(もっと正確にいうと表皮の中の角質層)」に触れています。
この表皮もまた、層構造になっています。表皮は、後から説明する「ターンオーバー」をすることが特徴です。また、表皮には紫外線や乾燥、雑菌などの有害物質から私たちを守ってくれる役割があります。

表皮の下には「真皮」があります。「真皮」の大部分は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった「間質成分」と呼ばれるものでできています。これらの間質成分は、皮膚を支えたり弾力の元になったり水分を保持したりしています。

真皮の下には「皮下組織」があります。皮下組織のメインは脂肪組織で、熱を産生したり、体温を保持したり、外からの衝撃から組織を守ったりする役目があります。また、皮膚に栄養を与える「毛細血管」の大元は皮下組織にあります。

皮下組織から下は、筋膜、筋層と続いて行きます。

表皮の構造とは?

表皮は5つの層に分かれていて、ターンオーバーを繰り返す

ターンオーバー

表皮は4層の層構造になっています。平均すると厚さは約0.2mmで、表皮を構成する細胞の95%は「角化細胞」と呼ばれる細胞です。一番下の層は「基底層」と呼ばれ、上にゆくに連れ、「有棘層」「顆粒層」「角質層」となってゆきます。基底層にいる角化細胞(基底細胞と呼ばれます)が成熟段階によって異なる形態を取って層状に並ぶために、この層構造は作られます。

基底細胞(角化細胞=ケラチノサイトとも呼ばれます)は成熟しながら、有棘層→顆粒層→角質層と上行します。角質層まで辿り着くと、角化細胞は角質になります。角質は、角化細胞が、脱核(「核」と言って細胞分裂の中心となる器官を失うこと)した、いわば死んでいる細胞が膜上に重なることで作られています。この角質は、いわゆる「垢」として皮膚から脱落します。

この一連の流れを「ターンオーバー」と呼び、約45日かかると言われています。

ターンオーバーにかかる期間は、年齢が上がるにつれ長くなります。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーが遅れると、シミは出来やすくなります。

表皮基底層のメラノサイトが肌の色を作る

メラノサイト

シミの元になるメラニンは表皮のメラノサイトから作られます。(一部真皮にもいて、真皮にいるメラノサイトは母斑の原因になります)
(メラノサイトからメラニンが放出される仕組みについては後述します)

*ゼオスキンなどのビタミンA製品(トレチノインやレチノール)は、健常な人の皮膚においては、このターンオーバーを促進する作用があります。トレチノインを用いると、通常45日かかるターンオーバーが約2週間にまで短縮されます。

*脱毛で使用するアレキサンドライトレーザーは、波長がダイオード、ヤグレーザーに比べて短いので、皮膚表層のメラニンによく反応します。そのため、表皮にあるメラニンにも反応してシミやそばかすを薄くする効果があると言われています。

シミ(老人性色素斑・色素沈着)や肝斑が出来るメカニズム

いつもより念入りにメイクをする時、少し丁寧にスキンケアをしているとき、普段よりもまじまじと鏡を見ていたら、以前はなかった薄茶色の斑点を見つけてショックを受ける…。そんな経験、ありませんか?

この記事を書いている私は、もちろんあります。
この薄茶色の斑点の正体、「シミ」は、一体どうやってできるのでしょうか?
「シミ」は母斑や悪性腫瘍以外の、皮膚に見られる「局所的な色素の増量」です。

なぜ色素が増えてしまうのでしょう?
色素が増える原因は、メラニンが増加するためです。

皮膚の、いわゆる「シミ」と呼ばれる部分をちょっと切り取って顕微鏡で見てみると、
・メラノサイトの数が増えている
・ケラチノサイト(角化細胞)とメラノサイトに、増殖が異常になる変化が見られている
・過剰なメラニンの沈着が見られている

といった変化が観察できます。

紫外線への暴露などが繰り返され、慢性的な炎症をきたすことで、ケラチノサイトからメラノサイトへ、「メラニンを作ってください」という指令がでます。指令を受け取ったメラノサイトは、メラニンをどんどん作るようになります。メラノサイトも、紫外線の影響を受けて、メラニンを作りやすい状態になります。また、紫外線の刺激を受けることで、真皮にある線維芽細胞からも様々な伝達物質が放出されます。この中には、ケラチノサイトがメラニンの合成を促す指令を出す手助けをするような物質も含まれています。

UVAUVBの影響

このように、紫外線の影響を受けて、ケラチノサイト、メラノサイト、真皮線維芽細胞に異常が生じ、ケラチノサイトを増やす指令(増殖シグナル)が増強し、メラノサイトが増え、メラニンを増やす指令が増強することで、メラニンが増え、シミとなって表れます。シミの発現には、これら三つの細胞の相互作用の他にも、紫外線暴露が原因となって遺伝子変異が生じることや、慢性の炎症が関係していることも明らかにされています。

シミの一種と言われている「肝斑」なんかは、擦ることによる慢性の炎症が原因とも言われています。

真皮の構造とは?

線維芽細胞からコラーゲンとエラスチンが作られる

真皮
コラーゲンやエラスチンといった、皮膚の張りや弾力のもとになる成分は真皮にある線維芽細胞から作られます。

コラーゲンは膠原線維を作る分子です。
電子顕微鏡で見ると縞模様が見えますが、これは架橋構造(分子同士を繋げて強くしている構造)があり、その構造が縞模様を作っているためです。この架橋構造があるため、コラーゲンはとても強靭な線維になっていて、皮膚を支える柱の役目を果たしています。

エラスチンは弾性線維を作る主成分です。その名の通り、皮膚の弾力性を担っている線維です。

エラスチンが少なくなったり、エラスチンに異常が起きたりすると、たるみやシワの原因になります。有名なものでは「光老化」と言って、紫外線によるダメージで皮膚に深い皺ができるものがありますが、これは紫外線によって弾性線維が傷害されるため起こる変化(光線性弾性線維症)です。

汗腺、脂腺、毛包などの皮膚付属器と言われる器官も真皮にあります。

皮膚の感覚(痛覚や触覚など)を伝える神経も真皮にあります。特に、真皮上層には、自由神経終末と言って、痛覚を伝える神経が存在します。(自由神経終末は表皮〜真皮上層部にかけて存在します)そのため、真皮深層以下に及ぶ深い傷ではむしろ痛覚を感じないことがあります。例えば、熱傷(火傷)はその深さによってⅠ度熱傷、Ⅱ度熱傷(浅達性)、Ⅱ度熱傷(深達性)、Ⅲ度熱傷に別れますが、このうち、痛みを感じるのはⅡ度熱傷(浅達性)までで、Ⅱ度熱傷(深達性)とⅢ度熱傷では痛みを感じません。これは、Ⅱ度熱傷(深達性)とⅢ度熱傷では、痛みを伝える神経が障害されてしまっているためです。一方で、Ⅱ度熱傷(浅達性)では、痛みを伝える神経が残っていますので、強い痛みを感じます。

*ゼオスキンなどのビタミンA製品(トレチノインやレチノール)は線維芽細胞のコラーゲンやエラスチンを作る力を促進させる作用があります。また、皮脂の過剰な分泌を抑える作用もあります。

*YAGレーザーには、真皮層に熱をこめることでコラーゲンやエラスチンの産生を促進する作用があると言われており、肌にハリやツヤを出す効果が期待できます。

皮下組織の構造とは?

皮膚を栄養する動静脈は皮下組織から真皮に上行する(上に伸びる)。また、皮下組織にある皮下脂肪は、保温や断熱の役割のほか、外部の刺激から体を保護する役割があります。

真皮〜皮下組織
(新しい皮膚科学第3版より)

*ヒアルロン酸注入の際に起こる重篤な有害事象として、「失明」や「皮膚の壊死」があります。これは、注入時に誤って動脈内にヒアルロン酸を注入してしまい、ヒアルロン酸が動脈を詰まらせてしまう(塞栓)ために、その動脈に栄養されていた細胞が死んでしまうことで起こる症状です。
脂肪層には動脈や静脈が存在するため、ハイリスク部位では脂肪層への注入は原則禁忌とされています。また、鋭針(通常の採血時に使うような、鋭利な針)の方が鈍針(ヒアルロン酸注入時に用いる鈍針はマイクロカニューレと呼ばれます。先が丸く、鋭利でない、細い管のような針です)よりも血管内への誤注入はリスクが高いと考えられています。

 

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