頭部顔面多汗症ボトックス（頭汗顔汗を止める治療）は保険適用になる？

頭部顔面多汗症ボトックスは保険適用にならない

頭部顔面多汗症ボトックスは保険適用になりません。多汗症のボトックスで保険適用ができるのは脇汗のみです。重度原発性腋窩多汗症に対してボトックスによる治療が保険適応を有しています。

美容目的でのボトックス使用は、通常、保険適用の対象外となります。ボトックスは医療用として、特定の疾患や医学的な条件の治療に用いられる際に保険適用となることがあります。これには、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸などの疾患が含まれます。

一方で、しわの除去、顔の若返り、顔の輪郭の調整など、美容目的でのボトックス使用は医療保険の適用範囲外と見なされるのが一般的です。美容クリニックではほとんどの場合健康保険が適用されない自由診療であり、治療費は自己負担となり、全額を患者が支払う必要があります。

ボトックスが保険適用になる疾患は？

ボトックスが保険適用になるためには、特定の医療条件や疾患を満たしている必要があります。

ボトックスが必要な疾患と診断された場合、医師はボトックス治療を保険適用のもとで行うことが可能です。ただし、治療の適用は医師の診断と判断によります。

健康な方で、ボトックスの保険適用が期待できるのは脇の多汗症くらいでしょう。

重度の原発性腋窩多汗症

極度の脇汗が常態化している状態で、日常生活に支障をきたす場合です。脇汗の多汗症のみボトックスの適用で、頭汗、手のひらの手汗、足の裏の足汗、顔の汗の顔汗などは保険適用外です。

多汗症の診断はHornbergerらの診断基準

基礎疾患がなく、局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6ヵ月以上認められ、以下の2項目以上があてはまる場合を多汗症と診断します。

① 発症が25歳以下である
② 左右対称性に発汗がみられる
③ 睡眠中は発汗が止まっている
④ 週1回以上の多汗のエピソードがある
⑤ 家族歴がみられる
⑥ それらによって日常生活に支障をきたす

その後、これらの2項目以上を満たす症例や幼小児例では家族からの指摘などを参考にして、それぞれ発汗検査を行って診断および重症度を確定します。

眼瞼痙攣

目の周囲の筋肉が不随意に収縮し、瞬きがコントロールできなくなる状態。

片側顔面痙攣

顔の片側に不随意の筋肉の収縮やけいれんが起こる状態。

痙性斜頸

首の筋肉が不自然に収縮し、頭が片側に傾く症状。

上肢痙縮

腕や手の筋肉が不随意に収縮することにより、動作が困難になる状態。

下肢痙縮

足の筋肉が不随意に収縮し、歩行や立ち上がりに影響が出る状態。

2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足

脳性麻痺による筋肉の痙縮が原因で、足が尖る状態。

斜視

目が正常な位置に固定できず、視線がずれる症状。

痙攣性発声障害

声帯の不随意な収縮により、声が震えたり、出にくくなる状態。

既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

過活動膀胱による尿意切迫感や頻尿、切迫性尿失禁で、他の治療法が効果を示さない場合。

既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁

神経因性膀胱の障害による尿失禁で、他の治療方法では効果が不十分な場合。

ボトックスが保険適用にならない理由

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