脱毛レーザーで体内(組織)温度は何度まであがっているのか?

医療脱毛 組織温度変化

脱毛レーザーを照射すると、毛やその周囲の温度はいったい何度まで上がっているのでしょうか?
今回はそんな疑問にお答えしていきます。
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レーザー照射に伴う生体組織変化の様子とは

まず、レーザーを照射すると、皮膚組織は温度によってどのような変化を起こすのでしょうか?

凝固相 Ⅰ-a Ⅰ-b
組織温度℃ 37~42 42~60 60~65 90~100 100以上
生体作用 生化学物質の活性化
受容器の刺激
蛋白分子の励起
加熱 タンパク質の変性凝固開始 水分蒸発 炭化 燃熱
気化
蒸散
組織構造の変化 組織構造の変化はない
光化学効果
組織構造の崩壊 収縮
乾燥
分子構造の崩壊 組織の消失

レーザーが生体組織に与える作用のうちで最も中心的役割を果たすのが熱的作用です。
表はレーザーを生体組織に照射した際に生じる組織温度と作用および組織構造の変化や反応をまとめたものです。

相Ⅰ-a、bでは生体組織を刺激したり、一時的に加熱するにとどまり、組織構造の変化は見られません。

相Ⅱの変化は、組織温度60〜65℃の変化で起こります。
レーザー照射により組織温度が60~65℃にまで高められると、タンパク質が不可逆的変化を起こして組織構造が破壊されます。

相Ⅲの変化は、組織温度90〜100℃の変化で起こります。
水分の蒸発が起こり、温度が上がるにつれて組織中の水分が減少し、生体組織は収縮、乾燥します。

相Ⅳの変化は、組織温度100℃以上の変化で起こります。
水分が完全に蒸散した後、炭化から燃焼、気化あるいは蒸散して組織が消失します。

止血は凝固相ⅡからⅢの間で行われます。
切開・蒸散は相ⅢからⅣの間で行われます。

なお、組織温度にさらされる時間の大小により生体組織変化の度合いは変化します。

組織変成

生体(組織)温度は何度まで上昇している?

医療脱毛で使用される、ロングパルスアレキサンドライトレーザーのターゲットはメラノソームです。
メラノソームにレーザーを反応させ、毛包とその周囲組織を破壊するため、照射時間(パルス幅)は3~40msecと長く設定されています。
1気圧のもとで水が蒸発するのには100℃の温度が必要ですが、組織は密な状態になっているので、実際には数百度の温度が蒸発には必要と考えられます。

レーザーの照射をした場合の物体の温度上昇を推定してみると、局所1cm3当たりのエネルギーEvは、

Ev=Fμa
※Ev=局所1cm3当たりのエネルギーEv
※F=局所のフルエンス
※μa=吸収係数
となります。

温度の上昇ΔTは、熱拡散がないとすると

ΔT=Ev/ρc=Fμa/ρc
※ρ=組織密度でおおよそ1.15g/cm3
※c=比熱4.2j/g℃

ただし、熱拡散があるとするとおおよそ

ΔT=(Fμa/ρc)(Tr/Tp)
※Tr=熱緩和時間
※Tp=照射時間(パルス幅)

仮にTr=Tpとすれば、

ΔT=Fμa/ρc

を使用できます。

初期フルエンス12j/cm2を照射してそれが目標の物体に到達した時にF=8j/cm2になった時の温度上昇(初期フルエンスが真皮層や反射で減衰するので、その予想値です)を考えてみます。吸収係数は200cm-1(これも文献参考値です)とすると、

ΔT=Fμa/ρc=8*200/(1.15*4.2)=331

これに体温を加えて、生体内での温度は

331+37=368℃と予想されます。

実際の組織では、初期フルエンスが高くても真皮での散乱率が高いので局所のフルエンスは非常に少なくなります。

タンパク質変成のための最低局所出力は?

タンパク質が変成を起こすためだけであれば、さらに低い温度でも良いと予想されます。
最低温度45℃で20分間加熱をすると、タンパク質には不可逆的な変化が起こります。
そして、温度が10℃上がるごとにタンパク質の変成に必要な時間は10の-1乗ずつ少なくなるとされています。

100℃では、1.2msecの作用時間でタンパク変性が起こることがわかります。

ロングパルスアレキサンドライトレーザーでは3~40msecの照射時間が用いられるので、タンパク質変成を起こすためには95~105℃の局所温度が必要だとわかります。

温度℃ パルス幅msec
45 1200000
55 120000
65 12000
75 1200
85 120
95 12
105 1.2

ΔT=105-37=68℃を達成するために必要なFは

F=ΔTρc/μa=68*1.15*4.2/200=1.64Jあれば良いと算出されます。

まとめ

レーザーを照射し、局所のフルエンスが8だと仮定した場合には
毛(メラノソーム)周囲の組織は368℃まで上昇していると予想されます。

ただし、タンパク質の変成は局所フルエンスが1.64J程度から始まっていると予想されます。

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