ヒアルロン酸注入後副作用遅発性アレルギーが疑われたの症例報告

ヒアルロン酸注入後副作用遅発性アレルギーが疑われたの症例

鼻翼基部ほうれい線・顎・唇にヒアルロン酸注入後に遅発性アレルギーが疑われた症例を経験したので報告します。ヒアルロン酸注入1ヶ月後から違和感を感じ、その後顔面神経麻痺を疑われた。腫れと疼痛が増し、形成外科で遅発性アレルギーの診断とヒアルロニターゼが必要と判断され、当院でヒアルロン酸を溶解した。その後、疼痛や腫れは治まり経過良好です。

遅発性アレルギーとは

遅発性アレルギー（Delayed Hypersensitivity Reaction）とは、アレルギー反応の一種で、アレルゲンに曝露されてから数時間から数日後に症状が現れるタイプの反応を指します。これは一般的にIV型アレルギーとして分類され、細胞性免疫応答によって引き起こされます。このタイプのアレルギーは、通常、皮膚や組織に炎症を引き起こし、腫れ、紅斑（皮膚の赤み）、硬結（硬くなる）、痛みを伴うことがあります。

遅発性アレルギーの特徴

1. 発症までの時間が長い: アレルゲンに触れてから数時間から数日後に症状が現れます。例えば、ヒアルロン酸注入後に数週間から数か月後に遅発性の反応が起こることがあります。
2. 原因物質: 遅発性アレルギーは、薬剤や金属、化粧品、ヒアルロン酸フィラーなど、さまざまな物質に対して発症する可能性があります。美容医療においては、ヒアルロン酸フィラーやボトックスなどが原因になることがあります。
3. 免疫応答: この反応は、体内のTリンパ球という免疫細胞が特定の物質を「異物」として認識し、攻撃することによって引き起こされます。この免疫応答は時間がかかるため、症状が遅れて現れます。
4. 主な症状:
   • 皮膚の発赤（紅斑）
   • 腫れ
   • 結節（しこり）
   • 強い痛みや違和感
   • 硬結（硬くなる）

遅発性アレルギーとヒアルロン酸

美容分野では、ヒアルロン酸注入後に遅発性のアレルギー反応が発生することがあります。これは、注入後すぐには問題がなくても、数週間から数か月後に炎症や結節が現れることがあり、場合によっては痛みを伴うこともあります。原因としては、感染症や免疫システムの異常反応、ヒアルロン酸自体やその中に含まれる添加物に対する反応などが考えられます。

治療法

• ヒアルロニダーゼ: ヒアルロン酸が原因である場合、ヒアルロン酸を溶解するために使用される酵素。結節の除去や炎症の緩和に役立ちます。
• ステロイド投与: 炎症反応を抑えるために使用されることがあり、特に重度のアレルギー反応に対して効果的です。

結論

遅発性アレルギーは、特に美容医療や医薬品の使用に関連して発生することがありますが、迅速な診断と治療によって症状の進行を防ぐことができます。

ヒアルロン酸注入後副作用遅発性アレルギーが疑われたの症例報告

1. はじめに

ヒアルロン酸注入は美容形成外科において一般的な治療法であり、特にほうれい線や顎、唇などの部位に用いられます。しかし、遅発性のアレルギー反応や結節の形成がまれに報告されています。本症例では、ヒアルロン酸注入後に遅発性の結節と強い疼痛が現れ、緊急にヒアルロニダーゼによる溶解が必要と診断された例について報告します。

2. 症例

• 患者: 40代女性
• 主訴: ヒアルロン酸注入後1ヶ月で違和感が生じ、3週間後に顔面神経麻痺様の症状が出現。
• 既往歴: アレルギー体質なし。感染の疑いはニキビのみ。
• 注入部位: 鼻翼基部、ほうれい線、顎、唇。

3. 症状経過

2024年6月に当院でヒアルロン酸を鼻翼基部、ほうれい線、顎、唇に注入。1ヶ月後から注入部位に違和感を感じ始め、さらに3週間後、顔面麻痺様の違和感が出現したため、勤務先の病院で炎症検査およびMRIを実施。異常は見られず、診断は不明であったが、その後、痛みが鼻翼基部からほうれい線、顎、唇へと広がり、神経障害が疑われるようになった。MRIでは脳疾患の可能性も排除されたが、結節が形成され腫れと強い痛みが続いたため、形成外科を受診。緊急溶解が必要と診断された。

ヒアルロン酸治療直前左、直後右の状態。仕上がりは良好である。

ほうれい線上、唇、顎に腫れが強く出ている

4. 治療

2024年10月、当院に来院。形成外科での診断に基づき、ヒアルロニダーゼ（4V）を使用して、鼻翼基部、ほうれい線、唇、顎に形成された結節の溶解を実施。特に顎部は硬結が残存し、完全な溶解は困難であったが、鼻翼基部と唇部は溶解に成功した。溶解後、患部は柔らかくなり、患者は疼痛の軽減を感じ、非常に感謝し帰宅した。形成外科では溶解後のステロイド投与と入院が推奨されていたため、今後の経過を見守ることとし、抗生剤を処方した。

5. 考察

本症例では、遅発性の結節形成と強い疼痛がヒアルロン酸注入後に発生した。これらの症状は神経障害を伴い、MRIや炎症検査では異常が見られなかったが、結節が硬結化し、炎症が広範囲にわたっていた。ヒアルロニダーゼによる溶解は効果的であったが、顎部の結節は完全には溶解できず、患者は腫れや痛みを訴え続けた。結節周囲の炎症が神経障害を引き起こした可能性があり、これにより入院が必要とされたと考えられる。また、結節の硬結が強く、麻酔の効果が得られにくかったため、溶解処置は困難であった。

6. 結論

ヒアルロン酸注入後数日から数週間後の遅発性結節やアレルギー反応は稀ではあるが発生し得る。腫れ、疼痛、結節、硬結が特徴的な症状で、早期にヒアルロニダーゼによる溶解を行うことで、症状の緩和に繋がります。患者様にはヒアルロン酸注入に伴う遅発性のリスクについても説明し、適切なフォローアップが必要である。

参考文献

• Turkmani, M., De Boulle, K., & Philipp-Dormston, W. (2019). Delayed hypersensitivity reaction to hyaluronic aciddermal filler following influenza-like illness. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 12, 277-283.
• Li, Z., Zhao, P., Xu, Q., Bi, J., & Huo, R. (2023). Delayed inflammatory reactions after hyaluronic acid filling ofneck lines. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 16, 99-102.

ヒアルロン酸に関連する遅発性アレルギー反応の症例報告

1. 首のしわにヒアルロン酸を注入後の遅発性炎症反応
   ヒアルロン酸を首のしわに注入してから3週間後に紅斑が現れ、遅発性の炎症反応と診断された症例です。経過観察が行われ、2週間後に自然に紅斑が治まりました (Li et al., 2023).
2. インフルエンザ様疾患後に発生したヒアルロン酸フィラーによる遅発性過敏反応
   インフルエンザ様疾患後に、ヒアルロン酸フィラーに対する遅発性過敏反応が14例報告されています。これは、感染症がフィラー反応を引き起こす可能性があることを示唆しています (Turkmani et al., 2019).
3. 顔のヒアルロン酸注入後の免疫性反応
   ヒアルロン酸注入後、顔に複数の痛みを伴う皮下腫瘤が発生した2つの稀な症例が報告されました。抗生物質治療が効果を示さず、手術的排液が行われましたが、遅発性過敏反応が最も可能性の高い原因とされました (Homsy et al., 2017).

結論として、ヒアルロン酸に関連する遅発性アレルギー反応は稀ですが、報告されており、感染症やフィラーの種類、投与方法によって引き起こされることがあります。

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